ショーグンの洋書本棚

ゆるい洋書紹介Blogです。加筆・修正することがありますが、ご了承ください。

"Bec (The Demonata)"『デモナータ 4幕 BEC(ベック)』- 洋書41冊目

■原書

"Bec (The Demonata)" Darren Shan (HarperCollins, 2007)

■翻訳版

デモナータ 4幕 BEC(ベック)』ダレン・シャン 橋本恵 訳

■評価

ジャンル:児童文学

面白さ:★★★★☆

難易度:★☆☆☆☆

レベル:TOEIC L&R 700~ 英検2級~

所要時間:8時間

■感想

子供のころ読んでいた児童文学の原書に挑戦しました。『デモナータ』シリーズは全10幕ですが、本作の『ベック』は単体でも十分楽しめる作品で、他とは少し毛色も異なります。特にラストシーンはずっと記憶に残っており、全10幕のなかで最も印象の残るシーンの一つです。

5世紀のアイルランド。人間は数年前から侵攻してきた悪魔と闘いながら暮らしていた。主人公のベック達は、村に現れた謎の少年「かけ足」に導かれるままに旅に出る。紆余曲折を経て、悪魔の出入り口である「トンネル」を閉じることに旅の目的が定まる。ベック達を待ち受ける壮絶な運命とは……。

すでに日本語で読んだ児童文学を原書で再読することは、英語力の現在地を知るのにとても役立ちます。本作品は私が小学6年生くらいの時に読んでいた作品ですので、本書をすらすら読めると、ネイティブの10~12歳程度の力はあるということになります。ですが、結果としては、まだネイティブレベルの感覚には追い付いていない状態です。例えば、’legends of creatures’と唐突に出てきたときは「??」となりましたが、邦訳書を見るとなんて事はない「伝説の生き物たち」のことです。つまり、英語では世界観を捉えきれていないので、予想外の展開になったときに理解が追い付かないのです。また、リーディングスピードについて、今回は読み終えるのに2週間程度を要しています。子供のころは2~3日で一気に読み切った記憶があるので、まだまだ英文を読むこと自体、脳に負荷がかかっているのかなと思います。

■一文紹介

‐ Teeth and fangs bite into my flesh, every part of me at once. Nails dig in deep, burrowing through to my guts. Hands worn inside me and pull bits of my innards out, scraping at my skin from the inside. I’m being torn apart. The pain is unbearable. I lose control. My mouth shoots open. My senses dissolve. My brain goes wild. The last thing I hear, before madness and demons consume me, is the tunnel filing with my anguished, uncontrollable death howls. ‐(262頁)

"The Science of Speed The Art of the Sprint" - 洋書40冊目

■原書

"The Science of Speed The Art of the Sprint" Tom Tellez (Winning Dimensions Sports, LLC, 2020)

■評価

ジャンル:スポーツ

面白さ:★★★★☆

難易度:★☆☆☆☆

レベル:TOEIC L&R 700~ 英検2級~

所要時間:4時間

■感想

1980~1990年代にかけて陸上界を席巻したスーパースター、カール・ルイスの指導者である、トム・テレツ氏の著作です。初心者でも分かりやすいように「走りの原則」を紹介しています。具体的なトレーニングの紹介こそ少ないものの、迷った時に立ち返るべき基本を示してくれている良書です。自分も本書の内容を念頭に普段のランニングに励もうと思います。意識すべきポイントはずばり、「地面に正しく力を伝えること」「姿勢・腕振り・ストライド」です。

■一文紹介

‐ ‘While not every athlete will be fast, every athlete can get faster.’ ‐(18頁)

"Brain Rules" 『ブレイン・ルール 健康な脳が最強の資産である』- 洋書39冊目

■原書

"Brain Rules (Updated and Expanded): 12 Principles for Surviving and Thriving at Work, Home, and School" John Medina (Pear Press, 2014)

■翻訳版

『ブレイン・ルール 健康な脳が最強の資産である』ジョン・メディナ 野中香方子 訳

■評価

ジャンル:科学

面白さ:★★★★☆

難易度:★★☆☆☆

レベル:TOEIC L&R 800~ 英検準1級~

所要時間:10時間(ネイティブスピード:5時間程度)

■感想

脳科学を一般向けに分かりやすく説明している本です。ここ最近は茂木健一郎さんの本など、脳科学系の本を読むことが多かったので、内容もすんなり頭に入ってきました。英語や資格の勉強をするうえでのヒントもたくさん貰えました。ただ文字を追うような受身の勉強方法はやめて、視覚や聴覚、あるいは嗅覚まで五感をフルに活用する勉強方法を試してみようと思いました。脳科学の基礎はぜひとも小学校中学校くらいから教えるべきですね。それで人生が変わる子がいっぱいいるに違いありません。

"The Moon and Sixpence" 『月と六ペンス』- 洋書38冊目

■原書

"The Moon and Sixpence" W. Somerset Maugham (Vintage, 2009) ※作品の初版は1919年

■翻訳版

『月と六ペンス』ウィリアム・サマセット モーム 金原瑞人

■評価

ジャンル:文学

面白さ:★★★★☆

難易度:★★☆☆☆

レベル:TOEIC L&R 800~ 英検準1級~

所要時間:8時間(ネイティブスピード:3時間程度)

■感想

冒頭部分は中々難しい文章ですが、それ以降は比較的読みやくストーリ自体も面白いので、洋書初心者にもおすすめです。個人的にはStricklandの内面をもう少し描いてほしかったという思いはあるものの、あくまで客観的な視点にこだわっているので、作者の趣旨とは外れるのかもしれません。

40代まで証券マンとして慎ましく働き、妻と子供を養っていた英国人Stricklandは、突如家族を捨ててパリに渡った。男がすべてを犠牲にして選んだ道とは—。こんな感じのお話です。無頼派な人間の物語が好きな人であれば絶対に楽しめる作品。あと太平洋の島に行きたくなります。

■一文紹介

‐ ‘I don’t think of the past. The only thing that matters is the everlasting present.’ ‐(76頁)

"Apollo 11: The Inside Story" - 洋書37冊目

■原書

"Apollo 11: The Inside Story" David Whitehouse (Icon Books, 2019)

■評価

ジャンル:児童文学

面白さ:★★★★☆

難易度:★★☆☆☆

レベル:TOEIC L&R 800~ 英検準1級~

所要時間:11時間(ネイティブスピード:5時間程度)

■感想

アポロ計画をクライマックスとする米ソ宇宙開発競争のノンフィクションです。科学技術が発展途上の時代に、命がけで宇宙を目指した飛行士の勇気には尊敬の念を抱きます。数々の英雄のなかでも最も好きなのが、人類史上初の宇宙飛行を成し遂げたユーリイ・ガガーリンです。1961年に小さなカプセルに入って一人で宇宙に行くなんて、考えただけでも恐ろしいですね。帰還方法も大気圏を抜けたら宇宙船から切り離されてパラシュートで着陸するというリスキーなものだったそうです…。初めて宇宙から地球を眺め、無事に帰還する。ガガーリンの心情は一般人には想像もできません。

進化には競争が不可欠であるということも改めて感じました。冷戦期という背景から、米ソは国家の優位を示すために莫大な資金を投入して宇宙開発を進めました。あの時代の宇宙開発の伸展は競争なしにはありえなかったのです。1970年代以降は宇宙開発の資金が減少し宇宙開発は下火になっています。あのイーロン・マスク氏も30年以上人類が月に行けていないのは馬鹿げていると考え、SpaceXを設立したそうです。

また、英雄たちの「その後」も興味深かったです。残念ながら宇宙飛行で偉業を成し遂げた人物のその後の人生は決して穏やかではないことが多かったそうです。もう一度宇宙を目指したかったがチャンスに恵まれなかったユーリイ・ガガーリンNASAから離れ小さな大学の教授になったニール・アームストロングアルコール依存症に苦しんだバズ・オルドリンなど…。宇宙飛行士も決して超人ではなく、それぞれに光と影を抱えていたことがよく分かりました。

■一文紹介

‐ That’s one small step for man. One giant leap for mankind. ‐(258頁)

"Alice's Adventures in Wonderland and Through the Looking-Glass" 『不思議の国のアリス/鏡の国のアリス』- 洋書36冊目

■原書

"Alice's Adventures in Wonderland and Through the Looking-Glass" Lewis Carroll (Signet, 2012) ※初版は1865年

■翻訳版

不思議の国のアリス鏡の国のアリスルイス・キャロル 河合祥一郎

■評価

ジャンル:児童文学

面白さ:★★★☆☆

難易度:★★★★☆

レベル:TOEIC L&R 850~ 英検準1級~

所要時間:8時間(ネイティブスピード:3時間程度)

■感想

児童文学だから簡単だろうと思っていましたが、正直かなり難しかったです。購入した洋書の帯にはTOEIC600点レベルとありましたが、それでは絶対無理でしょう…。

夢の中では、荒唐無稽なことが次々と場面転換して起こりますよね?本書はまさにそんな感じの物語でした。キャラクターが突然現れては突然消え、場面もコロコロと変わります。予備知識があればもう少しすんなり読めたと思いますが、初見ではエンジンがかかり始めるのが遅く、『鏡の国のアリス』の後半のほうでようやく話のリズムに馴れてきました。あとは鼻炎がひどくて集中しきれなかったのもあります。う~ん。またリベンジしたい一冊です。

■一文紹介

‐ Of all the strange things that Alice saw in her journey Through the Looking-Glass, this was the one that she always remembered most clearly. Years afterward she could bring the whole scene back again, as if it had been yesterday—the mild blue eyes and kindly smile of the Knight—the setting sun gleaming through his hair, and shining on his armour in a blaze of light that quite dazzled her—the horse quietly moving about, with the reins hanging loose on his neck, cropping the grass at her feet—and the black shadows of the forest behind—all this she took in like a picture, as, watching the strange pair, and listening, in a half‑dream, to the melancholy music of the song. ‐(202頁)

"Limitless" - 洋書35冊目

■原書

"Limitless" Tim Peake (Century, 2020)

■評価

ジャンル:ノンフィクション

面白さ:★★★☆☆

難易度:★★☆☆☆

レベル:TOEIC L&R 800~ 英検準1級~

所要時間:20時間

■感想

欧州宇宙機関(ESA)に所属する宇宙飛行士、ティム・ピークさんの自伝です。宇宙飛行士になるまでの軍隊時代の話が少し長いと感じましたが、本当に色々な経験をされていることが分かりました。軍隊で培ったスキルと宇宙飛行士に必要な資質は極めて親和性が高く、宇宙飛行士になるにはやはり軍隊に入ることが近道なのか?と思いました。これだけのリーダーシップとタフネスを身に付けるのは、他の仕事では中々難しいかもしれません。最初のミッションはソユーズ宇宙船による打ち上げで、紹介されていた裏話(出発前のロシア式の儀式)が漫画『宇宙兄弟』で紹介されていたものと同じだったので「あれは実話だったんだ!」とびっくりしました。宇宙での様々な体験と、そのときの心境が具体的に描かれており、自分も一度でいいから宇宙を経験してみたいと思いました。個人的には宇宙飛行士選抜試験の内容が気になっていたのですが、機密事項なのかほとんど記述がありませんでした。

■一文紹介

‐ I have seen astronauts described as selfish because they can do this. And maybe all exploration is selfish, at some level. But what if people didn’t push boundaries and explore? And if that curiosity and drive and that urge to probe the limits are inside you, should you go out in the world and be who you are, or should you try and hide it? ‐