ショーグンの洋書本棚

ゆるい洋書紹介Blogです。加筆・修正することがありますが、ご了承ください。

"After the Quake" 『神の子どもたちはみな踊る』 - 洋書59冊目

■洋書

"After the Quake" (Vintage, 2002) 

■翻訳版

神の子どもたちはみな踊る村上春樹新潮文庫、2002年)※作品初版2000年

■評価

ジャンル:文学

面白さ:★★★★☆

難易度:★☆☆☆☆

レベル:TOEIC L&R 650~ 英検3級~

所要時間:3.5時間

■感想

かなり面白かったです。特に『神の子どもたちはみな踊る』と『蜂蜜パイ』が良かった。短編小説って作家に関わらずちょっと苦手意識があるけど、これはとても読みやすいし余韻がありました。

それだけに映画を見逃したのが悔やまれます。

■一文紹介

‐ Let them look if they want to, whoever they are. All God's children can dance. -(58頁)

"The Housekeeper and the Professor" 『博士の愛した数式』 - 洋書58冊目

■洋書

"The Housekeeper and the Professor" (Vintage, 2010) 

■翻訳版

博士の愛した数式小川洋子新潮文庫、2005年)

■評価

ジャンル:文学

面白さ:★★★★☆

難易度:★☆☆☆☆

レベル:TOEIC L&R 650~ 英検3級~

所要時間:5時間

■感想

ずっと読みたいと思っていた作品。でも今更小川洋子さんを読むのは読書好きを名乗るには少し恥ずかしい、、、ということで洋書でトライ。

小川洋子さんの作品はエッセーを一冊読んだことがあるのですが、そのときに抱いた印象そのまま。優しい物語でした。

記憶が80分しか続かない数学者(博士)と、シングルマザーの家政婦、そしてその息子が織りなす温かな交流。数学を窓口にした博士との交流には心温まるものがありました。そしてそれ以上に、障がいゆえに社会で生きることが困難な博士ですが、自分の心には一切記憶が残らずとも、他者の心にはなにかを残すことができた。そこに、この物語の美しさを感じました。

文章も平易なのでストレスなく読めます。洋書初心者にもおすすめです。

■一文紹介

‐ In mathematics, the truth is somewhere out there un a place no one knows, beyond all beaten paths. -(34頁)

"The Little Prince" 『星の王子さま』 - 洋書57冊目

■洋書

"The Little Prince" (Harcourt, 2000) ※作品初版1943年

■翻訳版

星の王子さまサン=テグジュペリ新潮文庫、2006年)

■評価

ジャンル:文学

面白さ:★★★★☆

難易度:★☆☆☆☆

レベル:TOEIC L&R 650~ 英検3級~

所要時間:1.5時間

■感想

有名だけど、読んだこともなかったし、話もまったく知らなかった作品。作者はてっきり児童文学作家だと思っていたのですが、『夜間飛行』や『人間の大地』の作者その人であると知ってびっくり。

優しさのなかに見え隠れするもの悲しさ。この本を人生の一冊に挙げる人の気持ちがわかる気がしました。短いお話なので、英語でも1時間ちょっとでさらっと読めました。

大切なものは目に見えない。そして美しい。

■一文紹介

‐ "Good bye," said the fox. "Here is my secret. It's quite simple: One sees clearly only with the heart. Anything essential is invisible to the eyes." -(63頁)

"What I Talk About When I Talk About Running" 『走ることについて語るときに僕の語ること』 - 洋書56冊目

■原書

"What I Talk About When I Talk About Running" Haruki Murakami (Vintage, 2008)

■翻訳版

『走ることについて語るときに僕の語ること』村上春樹(文春文庫、2010年)

■評価

ジャンル:エッセー

面白さ:★★★★☆

難易度:★★☆☆☆

レベル:TOEIC L&R 750~ 英検準1級~

所要時間:4時間

■感想

この本の面白いところは、プロランナーではなく、あくまで一市民ランナーである村上春樹さんがランニングを語っているところです。トップレベルで競っているランナーでなくとも、設定した目標に向けてひたむきに努力するプロセスは誰にとっても尊いものだと優しく語りかけてくれています。走ることは村上春樹さんの人生哲学そのものに深く結びついているのだと感じました。短いエッセーなので、洋書初心者にもとてもおすすめの一冊。

■一文紹介

‐ "To deal with something unhealthy, a person nedds to be healthy as much as possible. That's my motto." -(98頁)

"An Artist of the Floating World" 『浮世の画家』 - 洋書55冊目

■原書

"An Artist of the Floating World” Kazuo Ishiguro (Faver, 1986)

■翻訳版

浮世の画家カズオ・イシグロ 飛田茂雄 訳(早川書房、2019年)※作品初版1986年

■評価

ジャンル:文学

面白さ:★★☆☆☆

難易度:★★☆☆☆

レベル:TOEIC L&R 750~ 英検準1級~

所要時間:9.5時間(ネイティブスピード:7時間程度)

■感想

集中し切れず、最後まで入り込めませんでした。話自体も、起承転結があるというよりは、現在と過去の回想が淡々と繰り返されるというスタイルです。気づきとしては、戦争画家なる職業があったことを初めて知りました。一人の老画家が戦後ある種の罪の意識を抱えている様子が描かれており、職業の違いはあれど現実世界でも同様の体験をしている人はたくさんいたんだろうな、と世界を見る視点が少し広がりました。

■一文紹介

‐ "My conscience, Sensei, tells me I cannot remain forever an artist of the floating world." -(215頁)

"Dance Dance Dance" 『ダンス・ダンス・ダンス』 - 洋書54冊目

■原書

"Dance Dance Dance” Haruki Murakami (Vintage, 2002)

■翻訳版

ダンス・ダンス・ダンス村上春樹講談社文庫、2004年)※作品初版1988年

■評価

ジャンル:文学

面白さ:★★★★★

難易度:★★☆☆☆

レベル:TOEIC L&R 750~ 英検準1級~

所要時間:9.5時間(ネイティブスピード:7時間程度)

■感想

高校生のときに読んで素晴らしいと思った作品。折に触れて書店で好きなページをめくることはあったものの、通して読むのは実に12年ぶり。やはり素晴らしかった。一番好きな村上春樹作品です。

五反田くんやユキとの良き関係性、そして「僕」の言葉が心に残ります。人間大人になると、否応なしに子どものころ持っていた宝石のような純粋さを失っていきます。それを否定したくなる時もありますが、つまるところ私たちにできるのは、時の流れを受け入れながら「踊り続ける」ことなんだと思います。

■一文紹介

‐ "And you really don't hate me?"

  "Of course not," I said. "In this uncertain world, that's about the only thing I'm sure of."

  "Absolutely?"

  "Absolutely 2,500 percent." -(366頁)

"When We Were Orphans" 『わたしたちが孤児だったころ』 - 洋書53冊目

■原書

"When We Were Orphans” Kazuo Ishiguro (faber, 2000)

■翻訳版

わたしたちが孤児だったころカズオ・イシグロ 入江真佐子 訳(早川書房、2006年)

■評価

ジャンル:文学

面白さ:★★★★☆

難易度:★★★★☆

レベル:TOEIC L&R 800~ 英検準1級~

所要時間:10時間(ネイティブスピード:5時間程度)

■感想

久しぶりに読むカズオ・イシグロ作品です。英国の私立探偵、クリストファー・バンクスが、少年時代に謎の失踪を遂げた両親を探す、、というのが話の筋です。カズオ・イシグロらしく、単なるミステリーではなく、非常に重厚なつくりになっています。人の記憶の不確かさ、過去への思慕、戦争の歴史など、いろんなテーマが折り重なっており、全体を通して頭に靄がかかったような感覚で読み進めました。クリストファーを待っていたのはとても残酷で儚い結末ですが、それを受け入れた彼はどんな人生を送ったのか。。。とても深みのある作品で、いつか再読したいです。

■一文紹介

‐ But for those like us, our fate is to face the world as orphans, chasing through long years the shadows of vanished parents. ‐(313頁)