ショーグンの洋書本棚

ゆるい洋書紹介Blogです。加筆・修正することがありますが、ご了承ください。

"Inside Track: Autobiography of Carl Lewis" 『カール・ルイス : アマチュア神話への挑戦』 - 洋書48冊目

■原書

" Inside Track: Autobiography of Carl Lewis” Joseph Tudor (Simon & Schuster, 1990)

■翻訳版

カール・ルイス : アマチュア神話への挑戦』カール・ルイス 山際淳司

 

■評価

ジャンル:ノンフィクション

面白さ:★★★☆☆

難易度:★☆☆☆☆

レベル:TOEIC L&R 750~ 英検2級~

所要時間:7.0時間

■感想

1980-90年代に陸上界を席巻したスーパースター、カール・ルイスの自伝です。陸上競技に出会った幼少期からソウル五輪後あたりまでの選手生活について、様々な出来事が語られています。走りの技術論的な話があればなと期待していたものの、当時の陸上界を取り巻いていたアマチュアリズムへの挑戦が本書のメインテーマでした。偉大なスポーツ選手というものは、競技だけに集中することが難しく、ルイスの場合もメディアからのバッシングや、ドーピング絡みのスキャンダルに巻き込まれたりと、多大なストレスを抱えながら競技していたのだなと知りました。

"Synthetic Medals: East German Athletes' Journey to Hell" - 洋書47冊目

■原書

"Synthetic Medals: East German Athletes' Journey to Hell” Joseph Tudor (Pitch Pub, 2023)

■評価

ジャンル:ノンフィクション

面白さ:★★★★☆

難易度:★☆☆☆☆

レベル:TOEIC L&R 750~ 英検準1級~

所要時間:7.0時間

■感想

スポーツのトレーニング理論や栄養学は日々進歩しており、年月とともに記録は塗り替えられています。それにも関わらず、陸上競技女子の世界記録を眺めていると、旧共産圏の選手が1980年代にマークした記録がいくつも残っています。これには明確な理由があります。冷戦期にはスポーツが国家の威厳を示す道具として用いられており、国が組織的ドーピングを主導していたのです。本書は、膨大な事例とともに、旧東ドイツの組織的ドーピングの実態や、元アスリートの過酷な体験について解説しています。スポーツ界の負の遺産に焦点を当てた一冊。

Amazonリンク

https://www.amazon.co.jp/Synthetic-Medals-German-Athletes-Journey/dp/1801501351

"Farewell My Lovely" 『さよなら、愛しい人』- 洋書46冊目

■原書

"Farewell, My Lovely" Raymond Chandler (Penguin Books, 2010) ※初版は1940年

■翻訳版

『さよなら、愛しい人』レイモンド・チャンドラー 村上春樹

■評価

ジャンル:文学

面白さ:★★★★☆

難易度:★★★☆☆

レベル:TOEIC L&R 850~ 英検準1級~

所要時間:9.9時間(ネイティブスピード:4~5時間程度)

■感想

フィリップ・マーロウ長編の第2作目です。昨年『大いなる眠り』を読んだときは、ページ数が50ページも少ないにも関わらず読了に15時間要しましたが、今回はかなり短い時間で読み終われました。当時は分からない単語に都度付箋をふっていたのも大きいですが、、(今は鉛筆でなぞっています)。物語の途中で展開はなんとなく予想できるものの、マーロウシリーズは単純に事件を解決するミステリーというよりは、その背景にある人間ドラマが魅力なので面白さは損なわれません。ただ、個人的には『大いなる眠り』と『長いお別れ』の方が好きかなあ、という感想です。本作でも例のようにマーロウは散々な目に会いますが、そこまで行動する義理が上記2作に比べて少ない気がします。

■一文紹介

‐ “You’re so marvellous,’ she said. ‘So brave, so determined, and you work for little money. Everybody bats you over the head and chokes you and smacks your jaw and fills you with morphine, but you just keep right on hitting between tackle and end until they’re all worn out.” ‐(302頁)

Amazonリンク

https://www.amazon.co.jp/Farewell-My-Lovely-Phillip-Marlowe/dp/0241954355

"The Remains of the Day" 『日の名残り』- 洋書45冊目

■原書

"The Remains of the Day" Kazuo Ishiguro (Faber And Faber Ltd., 1999)

■翻訳版

日の名残りカズオ・イシグロ 土屋政雄

■評価

ジャンル:文学

面白さ:★★★★★

難易度:★★☆☆☆

レベル:TOEIC L&R 850~ 英検準1級~

所要時間:7.5時間(ネイティブスピード:4~5時間程度)

■感想

人生で最も大切な本の一つです。大きな後悔や喪失感を抱えながらも、今自分が持っているものに感謝し、今自分ができることを積み重ねること。『日の名残り』は、いつもそれを戒めてくれます。StevensとMiss. Kentonの再会シーンは場面的には一瞬ですが、とても印象に残っています。全編を読み返さなくとも、この部分だけふと読みたくなることがあります。

■一文紹介

‐ “After all, there's no turning back the clock now. One can't be forever dwelling on what might have been. One should realize one has as good as most, perhaps better, and be grateful.” ‐(251頁)

‐ ”Surely it is enough that the likes of you and I at least try to make our small contribution count for something true and worthy. And if some of us are prepared to sacrifice much in life in order to pursue such aspirations, surely that is in itself, whatever the outcome, cause for pride and contentment.” ‐(257頁)

"The Ten-Day MBA" 『10日で学ぶMBA』- 洋書44冊目

■原書

"The Ten-Day MBA" Steven Silbiger (William Morrow & Co, 1993)

■翻訳版

『10日で学ぶMBA』スティーブン・シルビジャー 渡会圭子、曽根原美保 訳

■評価

ジャンル:ビジネス

面白さ:★★★☆☆

難易度:★★☆☆☆

レベル:TOEIC L&R 750~ 英検準1級~

所要時間:11.2時間(ネイティブスピード:7.5時間程度)

■感想

MBAってどんなことを学ぶんだろう?と疑問に思い読んでみました。内容的には高度過ぎず、入門としてちょうどよい書籍だと思いました。ですが、いかんせん中身に興味が持てず、読了に2か月を要してしまいました…。今年中はもうこの手の開拓はせず、好きな小説を読むようにします。

"The Sirens of Titan" 『タイタンの妖女』- 洋書43冊目

■原書

"The Sirens of Titan" Kurt Vonnegut Jr, (Gollancz, 2004) ※初版は1959年

■翻訳版

タイタンの妖女カート・ヴォネガット・ジュニア 浅倉久志

■評価

ジャンル:文学

面白さ:★★★★★

難易度:★★★☆☆

レベル:TOEIC L&R 850~ 英検準1級~

所要時間:9.8時間(ネイティブスピード:4時間程度)

■感想

大好きな作品で、翻訳版は何回も読んでいます。今回はじめて原書に挑戦しましたが、やはり日本語のようにスラスラ読むことは難しく、中盤~後半にかけてはややダレてしまいました。ヴォネガットの作品は「自由意志」を問うものが多く、本作でも人外の存在に操られる主人公たちの生涯をコミカルに描いています。それでいて、どこか悲しさも感じる、力加減がとても絶妙な作品です。

■一文紹介

‐ “It took us that long to realize that a purpose of human life, no matter who is controlling it, is to love whoever is around to be loved.” ‐(220頁)

"Shoe Dog" 『SHOE DOG(シュードッグ)―靴にすべてを。』- 洋書42冊目

■原書

"Shoe Dog" Phil Knight (Simon & Schuster Ltd, 2016)

■翻訳版

『SHOE DOG(シュードッグ)―靴にすべてを。』フィル・ナイト 大黒奉之 訳

■評価

ジャンル:ノンフィクション

面白さ:★★★★☆

難易度:★★☆☆☆

レベル:TOEIC L&R 800~ 英検準1級~

所要時間:15時間(ネイティブスピード:7時間程度)

■感想

世界一のスポーツブランドNIKEを作った起業家、フィル・ナイト氏の自伝です。NIKEというブランドはもちろん誰でも知っていると思いますが、その歴史まで知っている人は少ないはず。読んでいて「そんな経緯があったんだ!」と驚く部分も多かったです。例えば、NIKEが日本のスポーツメーカーAsicsの代理店としてスタートしていることなんて、多くの人は聞いたこともないでしょう。面白いと思ったのは、メーカーの創業者には珍しく(?)、フィル・ナイト氏自身は技術畑の人ではないんですね。製造業であれば、最初は開発者からスタートして、会社が大きくなるにつれて経営に軸足を移す人が多いように思うので意外でした。会計畑出身であることや、控えめな性格であること、またスポーツ選手としては凡庸であったことなど、自分と重なる部分も多かったのでとても楽しんで読むことができました。五つ星にしようか迷うくらい面白い作品でした。

■一文紹介

‐ I wanted to leave a mark on the world. ‐(3頁)