ショーグンの洋書本棚

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"Apollo 11: The Inside Story" - 洋書37冊目

■原書

"Apollo 11: The Inside Story" David Whitehouse (Icon Books, 2019)

■評価

ジャンル:児童文学

面白さ:★★★★☆

難易度:★★☆☆☆

レベル:TOEIC L&R 800~ 英検準1級~

所要時間:11時間(ネイティブスピード:5時間程度)

■感想

アポロ計画をクライマックスとする米ソ宇宙開発競争のノンフィクションです。科学技術が発展途上の時代に、命がけで宇宙を目指した飛行士の勇気には尊敬の念を抱きます。数々の英雄のなかでも最も好きなのが、人類史上初の宇宙飛行を成し遂げたユーリイ・ガガーリンです。1961年に小さなカプセルに入って一人で宇宙に行くなんて、考えただけでも恐ろしいですね。帰還方法も大気圏を抜けたら宇宙船から切り離されてパラシュートで着陸するというリスキーなものだったそうです…。初めて宇宙から地球を眺め、無事に帰還する。ガガーリンの心情は一般人には想像もできません。

進化には競争が不可欠であるということも改めて感じました。冷戦期という背景から、米ソは国家の優位を示すために莫大な資金を投入して宇宙開発を進めました。あの時代の宇宙開発の伸展は競争なしにはありえなかったのです。1970年代以降は宇宙開発の資金が減少し宇宙開発は下火になっています。あのイーロン・マスク氏も30年以上人類が月に行けていないのは馬鹿げていると考え、SpaceXを設立したそうです。

また、英雄たちの「その後」も興味深かったです。残念ながら宇宙飛行で偉業を成し遂げた人物のその後の人生は決して穏やかではないことが多かったそうです。もう一度宇宙を目指したかったがチャンスに恵まれなかったユーリイ・ガガーリンNASAから離れ小さな大学の教授になったニール・アームストロングアルコール依存症に苦しんだバズ・オルドリンなど…。宇宙飛行士も決して超人ではなく、それぞれに光と影を抱えていたことがよく分かりました。

■一文紹介

‐ That’s one small step for man. One giant leap for mankind. ‐(258頁)