■洋書
“Man’s Search For Meaning" Viktor E. Frankl (Rider, 2008) ※原書の初版は1946年
■翻訳版
『夜と霧——ドイツ強制収容所の体験記録』V.E.フランクル 霜山徳爾 訳(みすず書房、1985年)※原書の初版は1946年
『夜と霧 新版』ヴィクトール・E・フランクル 池田香代子 訳(みすず書房、2002年)※原書の初版は1946年
■評価
ジャンル:心理学、ノンフィクション、歴史
面白さ:★★★★☆
難易度:★★★★☆
レベル:TOEIC L&R 850~ 英検準1級~
所要時間:6.4時間(ネイティブスピード:3時間程度)
■感想
長年読みたいと思っていた本で、ついに手に取りました。原書はドイツ語です。
てっきり、アウシュビッツ強制収容所のノンフィクションだと思っていたのですが、少し違いました。もちろん、強制収容所の生活についても書かれているのですが、本書はあくまでも「人間心理」に焦点を当てた作品です。2部構成になっており、第1部は強制収容所という極限の環境を生きる人々の心理状態、第2部は筆者が専門とする「ロゴセラピー」(一種の心理療法)について書かれています。どうしても対訳が気になるところがあって書店に行ったのですが、どうやら邦訳版では第2部がまるごと未収録のようです。半世紀以上に渡り版を重ねている作品なので、第2部はどこかのタイミングで付け足されたのでしょうか? 謎ですね……。
内容は文句なしに素晴らしかったです。想像を絶する苦しみの中でも尊厳を失わない人間の強さが描かれており、「言語を絶する感動」という書評も大げさではありません。邦訳版では未収録ですが、第2部も非常に有益な内容でした。人生に意味を見出すための考え方から、日常生活で抱えるメンタルの問題を解決する手段まで、「ロゴセラピー」の療法が紹介されています。
英語版は単語、文体ともにやや難しいですが、絶対に読んでよかったと思える作品です。是非一読してみてはどうでしょうか。
■一文紹介
‐ She answered, ”It said to me, ‘I am here—I am here—I am life, eternal life’ ”. ‐(78頁)