■原書
”Of Human Bondage" W. Somerset Maugham (Vintage, 2000) ※作品初版1915年
■翻訳版
『人間の絆』サマセット・モーム 金原瑞人 訳(新潮文庫、2021年)
■評価
ジャンル:文学
面白さ:★★★★☆
難易度:★★★☆☆
レベル:TOEIC L&R 850~ 英検準1級~
所要時間:32時間(ネイティブスピード:12~13時間程度)
■感想
文章はそれほど難解ではなく、感覚的には『一九八四年』と同じレベルでした。ただし、700ページもある長い小説なので、英語学習者としては読み切るのが大変でした。
長い物語でしたが、その分とても印象に残りました。内反足というコンプレックスを抱える主人公のフィリップが、人生の困難に翻弄されながらも力強く生きていくお話です。主人公の姿がわたしと重なり、感情移入せずにはいられない場面がたくさんありました。また、全体をとおして人物描写が秀逸で、リアルです。ファニー・プライスやミルドレッド・ロジャーズ、クラトンなど、主人公以外にも記憶に残るキャラクターがたくさん出てきました。
小説の面白さは、色んな人の生き方を追体験できるところだと思います。そんな小説の魅力が詰まった作品なので、時間のある方はぜひ読んでみてください。
■一文紹介
‐ He had always in the future, and the present always, always had slipped through his fingers. ‐(699頁)